ディレクターのtknrです。という書き出しで始まるMD-Blogも、足掛け6年間、今回で21回目になります。
ところが、「ディレクター」といっても、この1年でその業務内容は様変わりしました。
WebディレクターとしてMONSTER DIVEに入社した当時の筆者(写真中央)
諸事情ありまして、昨年末に、Webプロダクションの事業部からコーポレート部門(コーポレート室)に転属になりました。
名刺の肩書きは従来どおり「ディレクター」なのですが、担当領域がいわゆる「バックオフィス」に変わり、事業部メンバーたちの後方支援が主な担当です。
その中でも広報、人事(採用企画)、社内システムや総務もろもろのお手伝いが僕のカバー範囲になりまして、部署の先輩にいろはを教えてもらいながら、これまで経験してきたWeb制作の現場とはまた異なる社会を勉強させていただいています。
そんなわけで、今回のブログでは、Web制作のディレクターとして約15年間はたらいてきた人間が、「事業」ではなく「企業」の運営側に転職してから1年間で気づいたコトをご紹介していこうと思います。
代表のオカジマ(写真右)と筆者(写真左)
コーポレート室への参加に際して、最初の3ヶ月間は、コーポレート部門の統括である弊社代表と定期的に1on1セッションを行ないました。
創業10年目を迎え、約30名の人数規模に拡大してきた、Webと映像のプロダクションカンパニー。これから何を変えて、何を遺し、何をアップグレードしていくべきなのか、その方向性や手法に関するアイデアを徹底的にすり合わせるミーティングです。
このウィークリーでの1on1セッションが、効果的でした。
制作案件のブレインストーミングでは常に何かしらの結論を出して次に進みますが、このセッションにゴールは無く、毎週、アイデアソンをやっているような感覚!
「企画」や「課題解決」といった趣向のものではなく、次々と発案し、脳みそをすり合わせていく会話の連続。長年、シゴトを共にしていると、「言わなくても分かるだろう」的なシーンが増えますが、あえて、思うことすべてを言語化していく努力が求められる取り組みで、非常に新鮮でした。
プロジェクトのキックオフの状況下では、過去には短期合宿やグループディスカッションを行ってきましたが、経験してみると、集団で議論するよりも1on1セッションのほうが澄んだ成果を得られる気がします。おすすめです。
このセッションを通じて、現在MDの採用ページに掲載されている「ビジョン/ミッション/バリュー」が明文化されました。
着任当初、コーポレート室としては求められていたアクションは、採用企画やインバウンドセールスに繋がる企業PRがメインだろう、という話をしていましたが、具体的な事柄の前に、すべての発想/行動の礎となる、いわば会社の「憲法」を、まずは経営陣とともに文章化したわけです。
とはいえ、僕たちはスタートアップ期の企業ではありませんので、これは無から有を作るものではありません。既にある社風や文化、経営陣の考え方を棚卸しして、これまでマネージャーたちが発言や行動で示してきたことを文章に整える、という作業でした。
その後は、この工程を通じて生み出された「ビジョン/ミッション/バリュー」を具現化するべく、あとはひとつずつのタスク推進をしていくのみです。
というわけで、まだまだ道半ばではありますが、続いては、この1年間で手掛けたこと、気づいた点をご紹介します。
MTDDC Meetup TOKYO 2019で講演する筆者
「Webと映像を融合して、世界にひとつのモノづくりを提供する。」とミッションを掲げてみましたが、コーポレート部門としては何から取りかかればよいのか、悩みました。というのも、Web制作のディレクターとしては、常に「○○というWebサイト/Webシステムをつくる」という目的のもと、どう作るか、いつまでに何をやるかを企画し整備していくのが生業でした。
ところが、コーポレート部門のディレクターとしては、そもそも「何をするべきか」から着手する必要があったからです。すなわち、Web制作でいえば「そもそもWebサイトを作るべきかどうか」「作るとしたら何のWebサイトなのか」です。MONSTER DIVEという法「人」が、例えるなら、「朝起きてからまず何をするべきか」「歯磨きするべきか、するとしたらなぜなのか」といったレベルで、毎日何をすればいいのか思案して行動に移すことが求められます。
もちろん、総務や人事といった業務の枠組みはあります。
毎日、オフィスは解錠しなくてはなりませんし(同じ部署のサマンサ先生に頼りっぱなしですが...)、フロアは清掃しなくてはなりません(ルンバとブラーバが頑張ってくれていますが)。ただ、Webサイトを育てるためには日々のSEO改善やコンテンツ強化でグロースさせていくことが必要なように、組織を育むためには、ただルーティンをこなすだけでは足りません。さらに、バックオフィスの中でもディレクターというポジションである以上、プラスアルファの価値を構築していくことが求められている...、いわゆるグロースハック的なことをもっと...、などと、悶々としたわけです。
そんな自問自答を経過した後、ひとつの目的にフォーカスした上で、いくつかの施策を取り掛かりました。
例えば社内コミュニケーションのポジティブ化。
流行のピアボーナスを取り入れるべく、米国初のSlackアプリ「HeyTaco!」をトライアルした上で導入しました。これは現在では「#md_arigato」として定常チャンネル化され、非常に賑わっています。前向きなコトバは見ているだけで元気が出ますね!
さらに、労務管理的な側面では「ジョブカン」を導入してIT化と働き方改革を図ったり、社内システム面では旧式のアプリケーションに頼っていた共有カレンダー等を「G Suite Business」に統一したり、またこの1年間にはオフィスの移転もあったので、社内ツールやドキュメントに、その都度、手を入れていきました。などなどは、前回のブログ記事「THE MONSTER INSIDER 〜MDのモンスターなワークスタイルをご紹介〜」に記載しましたね。
いずれの施策も、目的としては、人事であり採用です。
既にいるメンバーがより良いモノづくりに励めるように、そしてこれから迎え入れるメンバーをオンボーディングしやすくするために、コーポレート部門として何ができるか、何をすべきかという考えのもと、ビジョン/ミッション/バリューに従って実行していきました。
著名な経営学者の言葉を引用するまでもなく、企業活動とは人の集合活動です。特にクリエイティブ/テクノロジーを扱うMONSTER DIVEにとっての企業活動とは、人の活用しかありません。そんなプロダクションカンパニーのコーポレート業務とは、すべてはHRに集約されると考えています。
そんなわけで、現在、MONSTER DIVEが全力で取り組んでいるのは、良い人材との出会い機会の最大化です。
採用媒体に掲載するためにわざとらしくポーズを取る筆者(2011年撮影/写真右)
潤沢な採用予算のある大手やメガベンチャーではありませんので、採用活動といっても、広告やエージェントに頼るばかりにはなれません。「面」を抑えることは不可能です。それでも中小企業ができることはあります。そのひとつが、「点」の深堀りではないでしょうか。
採用活動を通じて良い出会いがあった場合、相手により深く適切に自社のことを知ってもらうこと。採用応募〜面談時には必ず企業はググられます(逆に企業も個人をググりますが)。そのときに、深堀りされるだけの情報量をネット上にプールしておくこと、そしてその内容をしっかりとブランディングされたものにしておくこと。これらを広報的な視点でしっかりと実施していくことは、予算の大小あれど、実行できます。
MONSTER DIVEとして、まず頑張っているのは、ソーシャルメディアへの継続投稿です。プロダクションカンパニーあるあるだと思うのですが、自社の情報発信がおろそかになりがち。弊社もけっこうなブランクがありました。そこで「ウィークリーで1ポストする!」とルーティン化し、毎週金曜日にFacebookページとTwitterを通じて弊社の近況、実績紹介、イベント登壇情報などを発信し続けています。
今のところ、街で声をかけられるとか、逆に炎上してコメントが荒れる、といったところまでは(何も)起きていませんが、「いいね」やリアクションは着実に伸びていっているようです。めげそうですが、継続が大事!という信念でしっかりと毎週、お届けしている次第です。
その成果は数ヶ月や半年間では目に見えないかもしれません。ただ、この活動のおかげで良い人材が良い形でジョインして活躍してくれたとしたら、それが1名であっても、採用コストとして考えれば、お釣りがくるでしょう。(媒体やエージェントに出稿/依頼するのにいくらかかるか、業界の方であればきっとご存じのはずです...!)
さらに補足すると、これら採用に向けたブランディング的な取り組みは、ポイントを変えれば、セールスの起点にもなりうると考えています。
実際、このMD-Blogがそうですが、弊社の採用にご応募いただくにあたって読んでいただいている方がいらっしゃる一方、ブログ記事を通じてお仕事のご依頼お問い合わせのきっかけにもなっています。
ここで重要なのは、セールスでもリクルーティングでも企業としての統一感が図られていることではないでしょうか。
営業面で言っていることとと、採用に際して言っていることが違う会社って、昨今、バレちゃいます。さらに言うと、僕たちは「インナーブランディング」と呼んでいますが、社内のメンバーが感じ取っている企業のブランド感と、外面としてのブランド感も、できる限り差異を小さくしていくことが、まっとうにビジネスをしていくためには重要な努力だと思っています。
大きく言えば「広報」ということなのですが、広く知らしめるというよりも、コミュニケーションの期待値をマッチさせていくこと。これが現代の企業には日々求められているはずです。
まだ東京生活が馴染んでいなかった頃の筆者(写真中央/2013年撮影)
広報・企業コミュニケーションというトピックに至りましたので、もう少しだけ今年1年間で手掛けた施策をご紹介します。
ノベルティ制作です。
いまさら!?と思われるかもしれませんが、質素倹約、とまでは言いませんが、質実を重視する社風ですから、封筒やシールといった最低限のモノ以外、企業ロゴの入ったいわゆるノベルティを作ってきませんでした(CIリニューアルに際して、モンスターの牙を研ぐ「歯ブラシ」を制作したことはありましたが)。
10周年の節目を迎えて、社名やロゴをきっちりと存在感を持たせたいきたい。
例えば、プレゼンテーションを持参するときに、これまではその資料を他社の紙袋に入れて持ち歩いていましたが、それってCIを手掛ける企業としてどうなの!?というところです。
さあオリジナルの紙袋を作ろう、と思い立ったのは良いのですが、小ロットでの生産になりますので、業者さんの選定にも一苦労。さらにデザイン入稿から仕上がりまで1ヶ月超かかるというスケジュールに...。そう、ノベルティをお作りになったことがある方ならご存じと思いますが、「品質」「予算」「小ロット」のすべてを希望通りに満たそうと思うと、どうしても「日程」が余計にかかってしまうのです!
これはネックストラップやICカードなどでも同様です。
これから制作をお考えの方は、どうぞご注意ください!
とりとめなくなってしまいましたが、Web制作ディレクターからコーポレート部門のディレクターに異動して1年間、こんなことを考えてやってきました。まだまだキャリア1年目!ですので、きっと来年の今頃は全く違うことを言っているでしょう!w
とにかく、デジタルの制作とはまったく違う...と結論づけたかったのですが、どうやらずいぶんと通じているようです。
「よいモノづくりは、はたらく仲間づくりから始まる。」これは数年前の新卒採用時にキャンペーンフレーズとして考えたものですが、けっこう、的を得ていると思いませんか。個人的には、今でも毎日がモノづくりの姿勢で、コーポレート業務に臨んでいます。
さて、ここまで偉そうに語ってきましたが、これらの業務は僕一人のチカラではありません。部署の先輩をはじめ、広報WG・社内コミュニケーションWG・社内システムWGとそれぞれ兼務してくれているメンバーたちとともに、これからの10年のMONSTER DIVEを作っていっています。
そして、このバックオフィス業務をサポートしてくれる総務経理アシスタントを、絶賛大募集しております。(2019年12月現在)
詳しくはこちらの求人情報ページをぜひご覧ください!
モノづくりの現場を支える大事なポジションです。
大企業では味わえない達成感と、数名の規模では感じられないチーム力、どちらも兼ね備えているのが現在のMONSTER DIVEだと思います。
ヒトを支えるのが好きだ!という方からのご応募、何卒、お待ちしております。