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愛と勇気の企画書作り

Posted by MONSTER DIVE

love & hate

世間的にはWebディレクターと言われるポジションで、編集者としての矜持を持って取り組んでまいりましたワタクシが、「企画書作り」をテーマとしてお送りします。

その企画書は優れた予告編になっているか?

ひとくちに「企画書」と言っても、まったく新しいお客様に振り向いてもらうための企画書もあれば、ある程度の形が見えている場面で最後に背中を押すための企画書と、お仕事の流れの中や局面によって役割がかなり大きく違ってきます。こちらでは絶対的な4番打者、長距離バッターとして活躍した選手が、海を渡ると中距離ヒッターとして役割を変えたように。でも、彼は、ところを変えても、チームの勝利のためにというのはブレませんでした。それは「企画書」も同じだと思います。

先方のもやっとした問題意識や取り組むべき課題を認識し、社会(というよりもサービスを利用するユーザーや読者)が求めているものと、当方がヤリタイコト、やれることの重なる部分を伝え、先方に理解してもらい、一緒にやろうと思ってもらうためのツールであるべきだと思っています。そんな企画書が作れたかどうかを判断するとき、ワタクシは「その企画書は優れた予告編になっているか?」を基準にしています。企画書でプレゼンを受けた相手方が、「面白い、役立ちそう」と思い、「やってみよう」と言わせ、そして「お金を出してもらう」には、そんな基準をもって作ったものを見直してみています。できあがった後の話から始めてしまいました...。

では企画書の正しい作り方と、言われると...。

そもそも今回は、「正しい作り方」という仮タイトルをいただいておりました。この「正しい」というのが厄介なシロモノです。手塚先生の『アドルフに告ぐ』で正義というものの曖昧さに気付かされ、先輩に「正解を求めて企画案を作るな」と指導された編集駆け出し時代を経験し、「面白い!」または「これはいける!」と思ったコンペに敗れ続けた2012年前半を経て、ワタクシの中で正しいという言葉への忌避感がほぼ満タンです。それにクライアントが正しいと思って続けてきたものと反対の提案をする場面もあり、正しいと正しいがぶつかり合って泥沼なんて事態になってしまったらと思うと、枕を高くして寝ることすらできません。 どうやら「企画の正しい作り方」という仮タイトルが、曖昧に過ぎたみたいですね。

ということで、愛と勇気の企画書作りに改題します

「愛だろ、愛っ。」企画書作りにも愛が欠かせないと思っています。「黙ってオレについて来い」という男らしさが利く場合もありますが、よっぽど魅力的でないと通らないと思います。相手方を理解しようとする気持ち、相手を思いやる懐の深さ、そして自分がどれだけ相手の役に立てるかを伝え、ともに手を取り合いながら進んでいく。そう考えると企画書は、予告編であり、ラブレターなのではないかと思うのです。そして愛する人(仕事)のために、時には勇気をもって、苦言を呈す。ワタクシたちmonsterdiveは、そんな思いを込めて、数々の企画・提案をしてきていると思います。

というわけで、ワタクシたちmonsterdiveの「愛と勇気の企画書作り」のさわりをご紹介していきます。

そういえばワタクシの知っている限りですが、仕事ができるなあと思う人は、異性(または同性)にモテるあるいはモテた時期がある人だったことを思い出しました(遠い目)。

まずは相手のことを理解することから始める

相手のことがわからない状態で闇雲にアピールしたところで、よっぽど男前だったり、よっぽどお金持ちだったりしない限り、振り向いてくれないでしょう。まずは相手のことを理解することから始めます。それは初めて訪問する会社であれば、少なくとも会社サイトを探して事業内容や社長の名前、会社の略歴、主要な取引先を調べておくとか、直接の相手方がどんなつながりがある人なのか、とりあえず名前で検索してみるとか。そうやって相手のことを理解しようと準備しておくことで、いざご対面して打ち合わせするときに、会話のネタになります。それに、自分のことを理解しようとしてくれる人に嫌な気持ちをもつ人はまずいません。

そうして少しでも胸襟を開いてもらうことで、もやっとした問題を引き出し、なんとなくやりたいと思っていることを具体化していく共同作業ヒアリングの過程へと、スムーズに突入していけるように思います。

ヒアリング内容を共有し、愛の総量を増やしておく

これはチームとして取り組むことができる過程かもしれません。一本だと折れるけどの毛利家ではありませんが、やっぱり一人で考えるよりもみんなで頭を突き合わせながら考えるほうがいいと思います。といって、丸投げではなく、ヒアリングしてきたことを整理して、正確にチームのメンバーに伝え、どの方向で企画提案をまとめるか、いつまでにメンバーに何をしてほしいか、明確にしておきます。そうすることで自分の頭の中もスッキリします。そしてちゃんと伝われば、各メンバーが魅力的な企画案が手元に集まり、溢れかえる愛で満たされることでしょう。そうやって、まずは総量を増やしておきます。

無駄なものをそぎ落とした愛の結晶が企画書となる

あれもいい、これもいい、と、たくさんの企画案に目移りしてしまいそうな状況です。これをすべて盛り込んだ企画書を持ちこんだところで、記憶に残らない幕の内弁当になってしまいます。ここで今回提案するところの本質を見極め、テーマに落とし込んでいきながら、一本の企画書にまとめ上げる。この過程も企画書づくりの醍醐味ですね。ぶっとく通したテーマに沿って、みんなで考えた企画案が咲き誇るわけですから。

企画書作りは3ステップで

上記のような思いをもって、ワタクシは愛と勇気の企画書作りを行っています。その工程を分析すると、3ステップに分けられように思います。

ステップ1:ヒアリング・情報収集

ここでは相手方がどんな人で、どんな仕事をしていて、どんな問題意識を持っているか、予算範囲はどんなものかという相手のことを知るフェーズと、では世の中ではどんなものが流行っているか、自分はどんな企画が好きか、ターゲットとなるユーザーはどんな人かという企画のネタになる情報を集めるフェーズです。このときにチームメンバーへの共有や企画会議が行われることになります。弊社ではおもにプロデューサーと呼ばれる人が主幹する段階です。

ステップ2:仮説を立てて、企画案をよりすぐる

ここからは弊社ではおもにディレクターと呼ばれる人が主幹となります。集めてきた情報を元に、今回の企画の趣旨や方向性を決めていくフェーズです。目指すべきゴールやターゲットを設定したうえで、5W1Hを明確にしながら、仮説を立てていきます。そうして仮説に沿うようにメンバーから寄せられた企画案を切ったり、貼ったり、捨てたり、拾ったりしながら、企画書のあらましが形成されていきます。

ステップ3:ストーリーを構成して、視覚化する

仮説の推敲を繰り返しながら、いよいよ相手方に提出するための企画書に落とし込んでいきます。ワタクシの場合は、ここでようやくPowerPoint上での業務になります。相手方へのプレゼンを考慮して、ストーリーを構成しながら、提示する情報の質と量に配慮しつつ、企画書にまとめ上げます。PowerPointのデザインは、センスではなくロジックで取り組んでいきます。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。それぞれのステップで気を付けていることやちょっとしたテクニックなども10年以上仕事をしていると、それなりに貯まってくるものです。ご要望があれば、そのあたりについても触れてみたいと思いますので、コメントやいいね!で表明してくださいませ。

Cover Image by _Abhi_, on Flickr

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