どうも、ディレクターのtknrです。
今月でMONSTER DIVEにジョインして7年目の幕開けを迎えました。当時10名ほどだったモンスターズも、いまでは倍を超える職人集団にスケールアップ! クライアント企業のみなさま、関係者各位、チームの仲間のおかげでございます、ありがとうございます。
さて、ディレクションって何なんだよっ、と、2年以上前にも悶々としたエントリをポストしていて、相変わらずの堂々巡りではあるのですが、デキるWeb担当者さんとチームを組ませてもらうと、もれなく、よいモノをつくることができて、モノづくりそのものがより良くなる! と、そう実感するシーンが多くあります。
そこで今回のブログでは、この濃密な6年間でプロジェクトをご一緒させていただいたクライアント企業のWeb担当者さんたちの"スゴワザ"、よいモノづくりに繋がるディレクション・テクニックについて、ご紹介していきたいと思います。
最近Web制作の業界にダイブしてみた!という方々やこれからプロダクション企業で働いてみたいと考えている方々の、どこかで何かのお役に立てれば。
まずは"Web担当者"について。
一般的に「Web担当者」とは、(僕たちプロダクション側からすると)クライアント企業側でWebサイトやシステム、サービスを担当している方々を指します。
部署やチームとしては、
といった方々が該当することが多いと思います。
Web担当者自身が、直接、インハウスやグループ会社にいるクリエイター/エンジニアとともに運用や実務にあたっているケースもあれば、プロダクション企業やシステムインテグレーターへの業務委託を主としてその選定や管理を主務にしているケースもあります。
プロダクション側のディレクターとクライアント企業側のWeb担当者とで最も異なるのは、
などなどなどなど、モノづくり以外の側面に関する多くのシゴトが職務に含まれることでしょうか。
しかしながら、
これは完全に個人的な体感値で、もしかしたら思い込みかもしれませんが、異論を恐れずに定義してしまうと、制作チームを上手く動かせているWeb担当者は、もしプロダクション側に在籍したとしても、そのヒトはきっと敏腕のディレクターです。逆も然りでプロダクション側のディレクター職として活躍されていたヒトが、事業やサービスを行う企業、つまりクライアント企業側に転職されて、デキるWeb担当者として活躍されているケースも。
なぜなら、そういった方々は共通して、次のようなディレクションを実践しているからです。
Slack、メール、電話、打ち合わせ、タスク管理ツールから届く通知の数々。Web担当者に限らず現代の社会人は多くの時間をコミュニケーションにもっぱら費やされてしまいます。もう、忙殺です。「メールを処理してから行くわー」「タスクを消化してから帰るよー」なんて当たり前のように発言しているマシーンなシーンありませんか? ええ、よくあります...。うん、毎日あります、恥ずかしながら。。
だからこそ重要になるのはその精度。
なんとなく会話し、なんとなく文章をタイピングしていると、たいていなんとなく時間が過ぎます。
それでもデザイナーはそれっぽく表現してくれて、プログラマーはそれっぽい感じに仕上がるようコードを書いてくれるのですが、たいていそつない程度のモノを作って終わりがちです。なんなら、クリエイター/エンジニアにプロフェッショナルなメンバーが揃っている場合には、それでもかなり良いモノが完成するパターンだってあります。
そこ、デキるWeb担当者は、違います。
リモートワーク普及の潮流は僕も賛成派なのですが、対面でしか得られない連帯感、相づちや頷きの具合で見える信頼関係があることも絶対だと思っています。また、テキストでは伝わらないニュアンスをニオイで感覚的に共有することも、本当にありますよね。
重要なのはその時々でコミュニケーションの目的と程度、いわゆる報連相の温度感によって、ツールを使い分ける術をスマートにすること。
これらは一例で、最近では「LINEでいいじゃん」説も。イケてるWeb担当者は、時代や状況に応じつつ、常に「このコミュニケーションを取るためには何が最善か」を意図的に使い分けてるなー、分かりやすいなー、と感じます。ステキです。
進捗報告やブレストの場では様々な発言、フラッシュアイデアが飛び交います。特に企画フェーズにおいてはその場がカオスになればなるほど、より突飛で、より洗練された方向性にたどり着くパターンも多くあります。また、そういった場はとても熱量がむんむんで、ともすれば参加者全員が「やった感」に満ち足りてエンディングを迎えたりしますが、デキるWeb担当者はそこで必ず適切なコンクルージョンをしてくれます。
議論に参加しつつしっかりゴールを見据えてガイドする姿勢、惚れちゃいます。
ブラックだなんだと言われがちなデジタル界隈のモノづくりですが、どんなプロジェクトにおいても、ハードワークが求められる時期があることは事実です。
そこを一点突破することで産み出されたモノ、そこで得た知見、それらによって、その後のビジネスをイージーにしてくれることも多々あります。
工数管理のことを制作メンバーの人的資源「リソース管理」と呼ばれることが多いように、ヒトの時間と手数は無制限ではありません。全盛期のレジー・ミラーをもってしても24時間ぶっ続けでスリーポイントシュートは決められません(例えが古い)。
そこ、イケてるWeb担当者は、ロードマップの策定がとても現実的で人間的。
例えば次のようなところが"よいモノづくり"に繋がっているなぁと感じています。
要件定義、設計、制作実務と積み上げると日程が収まらないとき、それでもなお、その期日に世の中にお披露目したいとしたら、その"理由"がモチベーションとなって、ヒト・モノ・カネが動き始めます。
「なぜそのWebサイトをその期日にリリースしたいのか」、その理由とは、例えば、
など、様々な要因があって「急いでリリースしたい」のですよね。
プレスリリースやIRを通じて知ることが出来る情報もありますが、もちろん、多くの事柄は社外秘です。そこで(当然ながら機密保持の契約の上で)プロダクションのメンバーにもそれら「ハードワークをするべき理由」を共有し、「なるほど、確かにこれはこの時期にリリースするべきだ!」と納得出来れば、それはかなりポジティブなシゴトになります。
さらに実際にモノをつくる人々のプロジェクトへの理解度が深まることで、クリエイティブな何かに繋がる可能性も秘めています。
クライアント企業の業績は、Webに限らず、関係する企業、つまりプロダクション企業側にとっても今後の事業計画に繋がります。コトバだけ独り歩きしてしまいがちの「Win-Win」という関係性ですが、Web担当者のこういった"巻き込み力"こそが、本当にそれを実現してくれるんですね。
さらに「誰がどのように意思決定しているか」を包み隠さず共有することが、より良いモノづくりに繋がったりします。
誰がジャッジで審判の日はいつなのかを意識することで、デザイナーやプログラマーの動き方も変わってきます。 それを見据えて、デキるWeb担当者は、あらかじめミスリードを招かないように、スケジュールやプライオリティを整理する段階から、
をとても透明にしてくれる懐の広さを持っています。そしてもちろん風通しの良い社風もですね、そうなると、本当におシゴトしていて気持ちが良い! 良いスパイラルが吹き上がります。となると出来上がるモノ、たいてい良い感じに仕上がります。
今年の4月にはフレッシュなNEWモンスターがジョインしたり、また2年前にMD初の新卒採用として加わったメンバーとプロジェクトチームを組んだり、また、絶賛強化中の採用活動を通じて、僕の担当領域、「Webディレクターのシゴトには何が大事なの?」と、お話しするシーンが増えてきました。
そんなときに思い出すのが、今回挙げたようなクライアント企業側の"デキるWeb担当者"さんたちのディレクション術だったわけです。
どんな肩書きだとしても、クリエイター/エンジニア以外の職種で"モノづくりのシゴトに携わる"ということは、クリエイター/エンジニアが担当する以外すべての物事を担当するということだと思っています。だから、冒頭に書いたように僕のなかでは「Web担当者=Webディレクター」なのではと考えるわけです。(ディレクター? プロデューサー? そのあたりの定義はまた別として)
MDでは"よいモノづくり"というフレーズをチームとして掲げていますが、この言葉にも、「良いものをつくろうぜ!」という作る行為に対する意識だけでなく、「良い感じでモノづくりをしよう!」と、工程・体制・雰囲気づくり的な気持ちも込められています。
まさにその後者の側面ではこれらのディレクション術は、とてもシンプルなことですが、大変参考になると思っています。
プロダクションというモノづくりのシゴトに必要な業務とは、「モノをつくる」か「モノづくりのシゴトをする」か、どちらかのカテゴリしか無いと思っていて、表現やコードを産み出すことが前者であり、後者はそれらを社会のなかでビジネスとして成立させるために、ヒト・モノ・カネをどのように動かしてどのように実現するかだと思うのです。
ビジネスと書くと、とてもむずかしいもののように感じがちですが、街角のタバコ屋の店主さん、コンビニの店長さん、バーのマスターもみんなこのような商いを生業としているわけで、このヒト・モノ・カネの動かし方が上手なヒトが、上手くシゴトを出来るのではないでしょうか。
Webディレクターとしては、技術や表現のスキルアップを目指すだけでなく、Web担当者さんたちのビジネスプロデュース力もしっかり見習っていかなくては!と思っている次第です。
一方で「モノをつくる」ことを生業とするタイプ、例えば農家さんや畜産家さん、料理人さんにおいては、つくるだけではなくマーケティングやカスタマーリレーションを学び取り入れている方々が増えてきていると聞きます。デザイナーやプログラマーといったデジタルの作り手たちもまた同じように"つくる以外のスキル"を持つことで、市場価値を高められるのでは...、という話もありそうですが、今回はココまで!
今回もまとめがまとまっておらず、恐縮です!!