今月初旬、2013年の流行語大賞が発表されましたね。
トップ10と特別賞は以下の通りでした。
特別賞
どれも"確かに"と手を打つフレーズばかりです。
この流行語大賞、正式には「ユーキャン新語・流行語大賞」と言います。
新聞の折込広告などでお馴染み「生涯学習のユーキャン」ですね。
元々は1984年に現代用語の基礎知識」をはじめとする実用書、ビジネス書を発行する自由国民社が開催したのが始まりで、2003年にユーキャンと提携して、翌年より今の名称となったそうです。
つまり、一企業が勝手に始めた企画ってことですね。
それがマスメディアで取り上げられるほどにまで大きくなったことはスゴイことですが、だったら僕らがやってみてもいいんじゃないか!? という完全な"他人のふんどし"エントリーです。
というわけで、不肖・Rickyが、業務上の体感値で選ぶ2013年Web業界流行語大賞の発表です!
スマートフォン、タブレットの台頭にあわせ、デバイス適応性が高く、1URLによるSEO効果、さらには更新の容易さといった要素も加わり、MONSTER DIVEでも対応するプロジェクトが増えました。クライアントの要望を整理していくと、レスポンシブウェブデザインが最適、というケースも多かったです。
ただ、規則性をもったグリッドに沿ってコンテンツを配置し、グリッド幅を相対値で指定する、という考え方からか、とにかくコンテンツを枠で囲ったような画一的なデザインも多く見受けられました。
スケジュールとバジェットも関係するのでしょうが、レスポンシブウェブデザインが今後も主流になれるかは、サイト制作者の都合は関係なく、もう一歩進んだ、突っ込んだUIを考えられるか、にかかっているでしょう。
「パララックス」とは視差効果。
コンテンツの動きに差を持たせることで平面のサイトに奥行き感を出す手法で、すでに2012年から流行していましたが、環境によりカクついたり、目的と手段がすり替わってしまって、伝えたいことが伝わらず、ユーザを置き去りにした残念なサイトもありました。
それが今年になり、きちんと設計されたサイトもどんどん登場してきて、物珍しさだけではなく熟成されてきた印象です。
実務上で変わった点で言うと、"クライアントに動きのイメージを掴んでもらうためにはモックを作る必要が出てきた"ということです。やはり静止画の状態では完成形を伝えきれないため、準備段階で1工程余計に手間をかけなければならず、より初期の設計が大事になってきています。
Windows 8とiOS 7の登場で決定的となったフラットデザイン。
これまでのリッチデザインへのカウンターカルチャーのように登場したフラットデザインは、それまであったテクスチャやマテリアルの質感、ディティールや奥行きといった要素を徹底的に排除しています。
目新しさも手伝ってかユーザにもデザイナーにも歓迎されているようですが、アイコンとして、内包する機能をそれ単体でユーザに理解してもらうためには、リッチデザインと比べ、制約の中で表現せねばなりません。
質感を表現したり、ディティールを作り込めませんから、当然、パーツ単体での存在感は薄くなります。でも、パーツを通じて画面全体の見栄えを調整する必要があり、それはあたかも、1個のレンガから建築物全体を捉えるような想像力が必要となりますので、デザインのハードルはむしろ上がったといえます。
前述の3つに併せて、今まで以上にUI/UXについての意識づけが高まってきました。
どういった見た目がユーザにとってわかりやすいのか。どういったユーザアクションがあると訪問者満足度が高まるのか。サイト側の意図を正確に伝えることができるのか......などなど。
これまでのようなサイト設計が通用しなくなってきた分、ディレクターを含めて改めてUI/UXを学ぶ、よいきっかけになったと思います。
どの業界でも常に新しいデザイン・技術は出現するものです。ですが、上辺だけ追っていてはいつか疲れますし、自分の血肉になることはありません。
どんなデザイン・技術であろうと、それらは目的達成のための手段であり、ユーザにとって最適な形を考え続けることがもっとも大事なのではないかと思います。
2013年5月に展開されたペンギンアップデートの第2弾は、事前の脅しに比べてそこまで影響が大きくなかったようですが(ペンギンアップデート1.0が強烈だったという噂も)、検索エンジンスパムの排除を目的としたアルゴリズムの更新は、SEO業者の対策を無効化しました。
でも、GoogleのアップデートとSEO業者の対策って、イタチごっこですよねぇ。毎回思うんですけど。
あやしいサイト運営者が検索上位を狙って、というのならともかく、まっとうなWebサイトを運営するのであれば、まっとうにコンテンツを揃えて運用することが、ロングテール的に見てやはり有効です。とすると、これまでのSEO的視点からではなく、コンテンツ視点からSEO対策を提案(コンサル)できる人材が今後力を持ってくるはずです。
今年一気に知名度を上げ、本格的なブレイクは来年となりそうですが、イニシャル、ランニングともに大幅なコスト削減を実現することができる新しいサーバの形は、かなりのインパクトでした。
たとえばプロモーションサイトを構築する際、ピーク時のアクセスを想定してハイスペックなサーバを準備してコストが高くなり、肝心のプロモーション予算が削られる、なんてことも、従量課金制のAWSを使えばなくなるわけです。
また、サーバにcgiも何も置かなければ月額費用は硬貨レベルに抑えることができます。これが実はとても重要なんです。
今、主要デバイスがスマートフォン/タブレット端末に急速移行していますが、インフラの整備がされてきたこともあり、画像を多用したサイトでもストレスなく閲覧することができます。
ということは、PCではもはやSPAM扱いされ、ガラケーではそもそも閲覧すらできなかったHTMLメールのメールマガジンが復興してくると思います。
なぜなら、メルマガはプッシュ型メディアだからです。iOSにもAndroid OSにもアプリのプッシュ通知機能はありますが、せいぜい数十文字のテキストのみで、情報量ではメルマガが圧倒しているんですね。
発信側は多くの情報を一度に送ることができ、受信側はストレスなく閲覧できる。 双方にとってデメリットがなくなれば利用しない手はないでしょう。
そして、これまでメルマガの多くはASPを用いて配信するケースがほとんどでしたが、AWSで構築しちゃえば、数千通を配信するような転送量でも1000円ちょっと、なんて結果も得られるわけです。
個人的にはコヤツのせいで、デザイン制作が大きく変わりつつあると感じています。
単純にRetina用に高解像度の画像を用意する必要がある、というだけではなく、とにかく、解像度が高い(高すぎるといってもいいくらい)ので、画像解像度的に問題なくても、CSS描画エリアと画像描画エリアとで違和感を感じることがあるんですよね。
高解像度の画像を多用するとサイトが重くなりユーザにストレスを与えることになるので、"極力CSS3で対応していこう"という発想になると、やはりデザインに制約が出てきます。
ぶっちゃけ、その流れとしてフラットデザインが出てきた面もあると思っていますが、そうなると、そもそもPhotoshopでのデザイン自体がいらなくない? という話にもなり、デザイナーさんは今まで以上に苦労されることと思います。
ここ数年のWeb制作現場は、デザイナー、コーダー、エンジニアといった完全分業体制から前後工程のスキルも必要なマルチ・プレイヤー体制へと変貌していますが、今後はその流れがさらに加速し、デザインもコーディングもオーサリングもできる。でも一番得意なのはコーディング、といった、"広く浅く、一部は究めて深く"というバランスを求められてくるでしょう。
個人的には、タブレットファースト(スマートフォンではない)なサイトが多くなっていくことは間違いないので、そこに特化したデザイン、技術が発達・熟成されていくはずです。中でもWebと動画の融合で面白いコンテンツが生み出されていくのではないかと思います。
現場的には、前述の通り、業務のセグメント化はますます曖昧なものになっていき、一人の突出した才能に依存するのではなく、チームで知恵を絞り、その知恵を各メンバーがスペシャリティを発揮して深化させていくという"結果としてのチームプレー"になっていくはずです。