バイクに乗ったことない人からすれば、スピードを出して「バビューンッ!」と走り抜けるレーシングライダーのようなライディングが、楽しいのだろうと思う人もいるだろう。バイクに乗り始めたばかりのライダーもその傾向があったりもする。でも実は、そこには愉しさはないのだ。では、ベテランライダーは、どのような視点でバイクを愉しんでいるのか、RIDE HI編集部の正田の実体験を元に紹介する。
レーシングライダーは、サーキットにおいて、上半身や下半身を積極的に大きく動かしてマシンをコントロールしているように見える。だからといって、一般のライダーがそのような動きを公道で真似してみても結局上手くはいことがほとんどだし、かえって危険な場面が増えるだけで、そこに愉しさは見つけにくいだろう。
しかし、そこにさらなる刺激を求めて、スピードを出してみたりするライダーがいるのも事実。
そんな、緊張感のある走りは、たしかに愉しいように錯覚してしまうかもしれないが、一歩間違えば取り返しのつかない危険と隣り合わせなのだ。かといって、ずーっとトコトコ走っているだけじゃ物足りないし......という感情もあるだろう。
では、実際に筆者の私が、73歳のベテランライダー、ネモケンこと根本 健の後ろを走ってツーリングしてみて気がついたバイクの醍醐味をお伝えしよう。
左が根本 健、右が筆者の正田
まず、ベテランライダーはオーバーなアクションはしない。
私が楽しい走りと思っていたのは、レーシングライダーがやるように、身体を思いっきりコーナーのインに入れたり、膝を出したりするような動きのあるライディング。しかし、ネモケンは、上半身も下半身もほとんど動いていなかったのだ。
そこには、"重心移動"という大事なテクニックが隠されていた。
身体は、ほとんど動かさずに重心を移動させることで、バイクを曲げているのだった。余計な動きをしない分だけ、走りに余裕が生まれる。
そして、他にもブレーキングのテクニックやコーナリング中のバイクの挙動を制御するテクニックなど様々な要素を"攻略する"ことに醍醐味があったのだ。
余裕が生まれることで、攻略するテクニックを使える
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攻略できることで愉しい走りと余裕が生まれる
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余裕が生まれることで......
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......
と、無限ループのように安全マージンが大きくなりつつも、どんどん愉しいと思える領域が増えていくのだ。
非常に、あっさりと書いてしまったがなんとなく読者の皆様に、バイクの醍醐味の見つけ方を感じてもらえたら幸いです。
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